《5-1》 みんな知っているダウ理論
ダウ理論は相場で生きている人のほぼ全員が知っている理論であり、トレードの基盤ともされています。なので人によっては
『ダウ理論だけで勝てる!』などダウ理論をトレードの主軸に置く方も沢山います。
ですが皆さんも薄々お気づきだと思いますが
意外とこの『ダウ理論』トレードでは全然使えません!笑
と、これだけでは誤解をされてしまうので、何故使えないと言えるのか、順を追って詳しく解説していきます。まずは基礎からです。
≪5-2≫ ダウ理論の基礎
まずダウ理論は6つの法則から成り立ちます。
このダウ理論6つの法則はテクニカルの基盤となる理論ですので、必ず覚えてください。
と言っても、今回はすべてを解説すると長くなってしまうので、皆さんが主にテクニカルで使うであろう『⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する』について話していきます。
使えないと言った部分がこのダウ理論⑥ですね。
このダウ理論⑥はトレンドを判断する方法としてかなり有名な理論です。
皆さん知っていると思いますが、これも軽く説明していきますね。
大前提にダウ理論では、上昇トレンドは『高値と安値がそれぞれ切り上がり』、下降トレンドは『高値と安値がそれぞれ切り下がる』と定義されます。
これがトレンド継続のサインです。そしてこのトレンドは『明確な転換シグナル』が発生しない限り続くとされます。
では、その『明確な転換シグナル』とはなんでしょうか?
そのシグナルとされているのが上昇トレンドにおける安値切り下がり、下降トレンドにおける高値切り上がりになります。
つまり押し安値、戻り高値を超えた場合を『明確な転換シグナル』とするわけですね。
細かい所では間違っているかもしれませんが、大まかにはこのような感じです。
ではこの理論、実際使えるか、使えないかで言うと
実は『使える理論』だと思っています。
はい。さっきと言っていることが違いますよね。笑
早くも矛盾していますが、私自身ダウ理論を使って勝ってきたトレーダーでもありますし、『大衆が認識している=相場で通用する』と思っているのでほぼすべての人が知っている理論が使えないわけがありません。
では何故、先ほど使えないと言ったのかですよね。
それは『初心者さんがほとんど知っている理論でありながら、初心者さんが扱えない理論』だからです。そもそもダウ理論はエントリーで使うものではありませんし、シンプルが故にかなり難しい理論です。
なので私が使えないというよりは皆さんが使えていないだろうなと思っている事になります。実際にDMでいくつかご質問は頂いていました。
では何故、初心者さんにはダウ理論が難しいと言えるのか、詳しく解説していこうと思います。
《5-3》 ダウ理論が難しい理由①
そもそも勘違いしている方もいらっしゃると思いますが、『明確な転換シグナル』が発生したからと言って相場が転換するとは限りません。
『トレンドが終了する』だけです。
これはつまり逆を言えば、明確な転換シグナルが発生した場合はトレンドが継続できなくなるという事になります。
『トレンドが継続できない=転換』
と捉えられがちですが、そうとは限りません。トレンドは1つだけではありませんから。
*ここからはダウ理論⑥が転換シグナルで否定された事を『ダウ否定』と統一していきます。
先ほどダウ理論の6つの法則をお伝えしました。
その中に1つ面白いことが書いてあります。それが
です。つまり第1のトレンドが主要トレンドである場合、終了しても第2、第3のトレンドが発生する可能性があります。
上画像の様にトレンドが終了したからと言ってそのまま転換するとは限りません。
実際の相場を見ても、ダウ否定されたからと言ってトレンドが転換してない場合も多いです。
なのでダウ否定に合わせてエントリーしてもトレンドが間違っていれば利益になりません。
上昇ダウ否定 ⇒ 上昇トレンド終了 ⇒ ① or ② or ③
①第2の上昇トレンド開始
②下落トレンド開始
③レンジ相場突入
この3つのどれかになります。
つまり使えない理由①として『そもそもダウ否定はトレンドが転換するサインではない』という事です。
トレンドが切り替わる瞬間を表しているに過ぎません。
《5-4》 ダウ理論が難しい理由②
そして2つ目の理由が、見る人によって高値安値が違う点です。
皆さん上画像を見て次の質問に答えてください。
Q. 青矢印の安値から見た場合、戻り高値はどの色のラインになるでしょうか?(ピンク、紫、水色、緑)
正解は『すべて』です。
何故なら見る人によって戻り高値の捉え方も違うからです。
ピンクラインで値動きを見ている人、青ラインで値動きを見ている人など様々な視点があります。
逆に水色矢印もっと拡大して見てみますと、
選択肢に無かったオレンジラインが戻り高値と言え、すでに超えてるとも言えますよね。
つまり短期で見る人(5分足など)、中期で見る人(1時間足など)、長期で見る人(日足など)によって戻り高値は変わるという事です。
もちろん同一足でも変わります。
結果、戻り高値としての意識が分散させられてしまうという事になります。
このような場合でピンクラインを超え、『ダウ理論的に転換だ!』と考えても紫ラインで見ている人はまだ転換していないと考えているので
意外と決済やポジションが入らずトレンド継続のようになります。
つまり『ダウ理論はシンプルすぎるが故に、人によって大幅に解釈が変わる理論』なわけです。(ここが1番重要です)
なので、転換シグナルは沢山出ますが騙しも沢山出ます。その結果、わかりにくい場所も強引に判断して多くの人は失敗してしまいます。
実はこれとよく似た現象が起こるテクニカルがあります。
それがラインです。ライン理論1でも話していますが、『多くの人が意識しているから』こそラインは反発します。
反発回数が少なかったり、1分足のラインであれば意識は集中していないのでラインとしての効力が弱いと言えますよね。
つまりダウ理論も同じく大衆が意識しなければ、ほぼ機能しません。
ダウ理論は『ほぼすべての人が知っているアドバンテージ』がありますが、実際には足並みが揃わないので意外と使えない理論と言えるわけです。
≪ダウ理論が使えない理由まとめ≫
なのでダウ理論単体で語ると正直使えないと言えます。
では何故先ほど『使える理論』と話したのかには理由があります。
先ほどお伝えしたようにダウ否定は『ここを超えたらトレンドが変わる』と言える節目が曖昧なわけです。
ですが、逆を言えば何か大衆が意識するような要因があれば使えます。
『ダウ否定が発生したら転換』と考えるのではなく『どのような環境でダウ否定が発生したら転換するのか』を考えてあげると良いのです。
つまり、元々大衆の認知があるアドバンテージを持っているダウ理論が相場で使える形になればかなり強力な武器になるということです。
それが『rumaの手法&トレード解説』に書いてある手法なわけですが、ここで書くわけにはいかないので今回はその基盤になる考え方をご紹介します。
《5-5》 ダウ否定の考え方
ダウ否定は基本的に『目線の切り替え』として使うのが本来の正しい使い方です。
このようにトレンド継続のサインが出れば、そのサイン通りのトレンド目線で取引をし、
このように否定されるのであれば、逆張り、又は次の大きなトレンドの為の準備期間とするのが正しい使い方ですね。
*上昇トレンド中にダウが否定されるのであれば、その後の再上昇に向けて準備するといった感じです。
ですが先ほどお伝えしたように認識が人によって曖昧な為、ある工夫が必要です。
と、その説明をする前に利確についてお話します。
稀にですが、ダウ否定は目線だけではなく、利確として使用を推奨されることがありますが正直おすすめはしません。理由は2つあります。
例えばこのピンク四角ではわかりやすくダウ否定をしていますが、2つの黄色四角はリアル相場で見るとダウ否定と言って良いのか意外とわかりにくい相場です。
先ほども言ったようにわかりにくいダウ否定は根拠として弱いです。
なのでダウ否定を基準に利確をしてしまうと全然上手くいかないので何が正しいのかわからなくなります。それでも
「ダウ否定で利確したい!」
と言う人が居るのであれば、ダウ否定よりもラインの方が圧倒的におすすめです。
例えばですが
水色ラインを超えた場所(ダウ理論⑥のトレンド継続サイン)でエントリーしたとします。その場合明確なダウ否定は黄線かピンク線になりますよね。
すると上画像のような値幅を取ることが出来ます。ですが
ラインを使ったチャネルで利確した方がダウ否定で利確するよりも保有時間が短縮され、更に値幅も綺麗に取れています。(水色矢印からならどこで利確しても良いという意味で3つあります。)
なので『理由①ダウ特有のわかりにくさ』と『理由②否定されるまでの遅さ』から利確には向かないと考えます。
これとほぼ同じ理由で損切でも使用はおすすめしません。あまり損切で使うというのは聞かないですけどね。
結果、ダウ否定は『利確、損切』や『エントリーサイン』として使うものではありません。目線&目線の切り替えとして使うのが正しいというのが結論です。
ただ先ほどお伝えしたように『ここを超えたらトレンドが変わる』と大衆が思える根拠や意識が必要になります。
なのでここからはダウ否定が目線としてわかりやすくなる場所はどんな場所か3つお伝え致します。
《5-6》 押し安値、戻り高値がわかりやすい場所
ライン理論でも書いている通り、すべてのテクニカルは時間足に依存します。
つまり長期になればなるほど意識され、短期になればなるほど意識されにくくなります。
何故なら長期足の方が見てる人が多く『多くの人が意識しているから』ですね。
更に言うとトレンドが大雑把になるという利点もあります。(語彙力が無くてこのような言い方になって申し訳ないです笑)
例えばドル円の1時間足では
このようなトレンドになっていますが、これを月足で見ると
トレンドがほぼ押し目無しに動いているように見えます。
つまり月足がトレンドを大雑把にしてくれることにより、ある程度押し目の認識が統一されやすくなります。
例えば月足で確認できる押し目は下位足の週足、日足でも確認できますから。
この2つの理由から長期足になればなるほどダウ否定としての意識が集まりやすくなると言えます。
先ほどの様に何も目印が無ければどこを押し安値として見て良いのかわかりません。ですが三尊、逆三尊が出れば話は変わります。
普段のダウ否定と違いここでは2つの意識が生まれます。
1つ目が『逆三尊』です。
これは言うまでもなく転換パターンのお手本ですので綺麗な三尊であれば意識が集中し、大衆の三尊⇒転換という安易想像でポジションが増えます。
2つ目が『ダウ否定』です。
ピンクラインを超える事によって戻り高値を超えるのでトレンドが終了します。三尊も発生していると考えると、更にこのネックラインに意識が集中します。
つまりこの逆三尊には2つの意識が集まる事によりダウ否定だけの根拠よりは大衆に意識されると言えるわけです。
ですがこれは結局ただの逆三尊でしかなく、これだけで転換するとは言えません。ここで言いたい事としましては、チャートパターンなど複合して見た場合、戻り高値が大衆として一致していれば効力は増してくという事です。
これはライン理論1、2を読んだ方がわかりやすいかもしれませんね。
急騰、急落前の価格帯は基本的に意識されやすい場所であると言えます。
例えばですが
このチャートではトランプラリーでの急騰前の価格帯が意識されコロナショックの急落が止まっています。
これは何故かと言いますと『インパクトのあった価格帯であるから大衆が意識している』事もそうですが、わかりやすい押し安値だからでもあります。
先ほども見て頂いた黄四角は押し安値がかなりわかりにくいのでダウ否定の判断も難しいとお伝えしました。
ですが急騰急落であれば話は別です
極端に言えばこの水色ライン以外に押し安値が無い状態なわけです。誰もがこの場所を押し安値と認識することが出来ます。
実際の相場で見るとこんな感じです。これだけ幅があると同一足限定でありますがここが押し安値として大衆も見ます。
この理由もあり【第一章:急騰急落の飛び乗りは期待値が低い】では急落前の価格帯を超えたら損切するとお伝えしていたわけです。
このようにダウ否定がわかりやすければ、大衆の思惑も一致しその後の上昇していく可能性も高くなり、抵抗帯としても強くなるということになります。
つまりダウ理論もテクニカルである以上『多くの人が意識しているから』は大切ですね。
≪ダウ理論が意外と使えない理由まとめ≫
つまりダウ理論はトレードの基盤ですが、それ以上に『多くの人が意識しているから』がトレードの基盤だと私は思います。
これでトレード論を終わります。参考になりましたら、是非他のページも読んで頂けたらと思います。
では、皆さんが相場で生き残ることを切に願っています。
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