第二章:リスクリワードと勝率どちらが大事?

目次

《2-1》 リスクリワードとは?

トレーダーの間でよく使われているリスクリワード』という言葉。

FX界隈以外ではリスクリワードレシオ(比率)と言います。

*計算方法*
リスクリワード比率=勝ちトレードの平均利益/負けトレードの平均損失

*リスクリワードレシオの意味が大体わかる人はこの説明は読まなくて大丈夫です。

勝ちトレードの平均利益の額と、負けトレードの平均損失の額が同じであれば、リスクリワードレシオは「1」となります。
リスクリワードレシオが1よりも上であるならば、その取引が「勝ちトレードの利益額の方が大きい」状態にあります。逆にリスクリワードレシオが1よりも下の場合は、「負けトレードの損失額の方が大きい」状態にあることを示しています。

ですが実際にX(旧Twitter)などの主にFX界隈では

1回の取引における 損失:利益 の『目標』比率

のような形で説明されることが多いです。

実際に私もそうですから。

ですが先ほど説明したようにGoogleなどで調べていただくと、大体は本来の計算方法が出てきます。

これを見るとFXで言うリスクリワードの考え方は『想定本来のリスクリワードレシオの考え方は『結果』であることがわかります。

では何故、FX界隈で本来の意味とは逆の『想定のリスクリワード』が生まれたのでしょうか?

それは単純にこの想定がFXでは大切だからだと思っています。

そんなFX界隈で使われている『1回の取引における 損失:利益 の目標比率』を元にしたリスクリワード(RR)勝率の関係を今回は解説していきます。(想定のリスクリワードの方ですね)

先にお伝えしておきますが、

リスクリワードは『結果論』です。

ですが初心者さんに向けて言うのであれば

FXは勝率よりリスクリワードを高くすることの方が大切と言えます。

この言葉の真意は後程解説していきますが、その前にリスクリワードと勝率の関係について解説していきます。

《2-2》 トレードは期待値がすべて?

*恐らく本来は『リスクリワード 1 』と表すと思いますが、わかりやすくする為ここからは『リスクリワード 1:1 』と書かせて頂きます。基本的に手数料等は計算に含まれていません。

≪リスクリワードが 1:1 の場合≫

例:ここでエントリーすると利益として100pipsが期待でき、その時の想定損失が100pipsである可能性の場合。(損失100pips:利益100pips)

上記の条件でトレードを10回繰り返す場合、最低でも勝率50%無いとマイナスになってしまいます。利益を積み上げるのであれば勝率55%以上欲しいですね。

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では、リワード(利益)を大きくしてみます。

≪リスクリワードが 1:3 の場合≫

例:ここでエントリーすると利益として300pipsが期待でき、その時の想定損失が100pipsである可能性の場合。(損失100pips:利益300pips)

この場合は、最低でも勝率25%以上をキープできなければ損失です。増やしていくのであれば勝率30%以上欲しいところです。

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では、逆にリスク(損失)を上げていきましょう。

≪リスクリワードが 8:1 の場合≫

例:ここでエントリーすると利益として100pipsが期待でき、その時の想定損失が800pipsである可能性の場合。(損失800pips:利益100pips)

この場合は、勝率85.5%以上をキープできれなければ損失です。増やすためには勝率90%以上欲しいですね。ほぼ負けは許されない状況です。

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この3つを紹介しましたが、極端に言えばこの3つどれでも計算通りの勝率とRRを出せば損益はプラスになり

『期待値がプラスである状態』

となります。

一般的にこの期待値がプラスのトレードを繰り返すことで資産は増えていくとされています。

私の説明ではなくとも調べて頂ければブログ、サイト等、色々解説していますので一度調べてみるのも良いかもしれません。

と、ここまで詳しく解説してきましたが

残念ながらこの期待値計算は机上の空論です。

つまりリアルのトレードでこの計算はそこまで意味のあるモノではありません。

『RR1:1の勝率55%は期待値プラスで利益が積み重なる』

と先ほどお伝えしましたが、実際のトレードでは意外とうまく行かず、トータルが損失で終わることも結構あります。

では何故なのでしょうか。

理由は大きく分けて2つあります。

*ここからは期待値プラスのトレードとして『RR1:1勝率55%』を例にしてお話していきます。

《2-3》 期待値プラスが期待できない理由①

①数字を固定しなければいけない

まずは先ほどお伝えしたリスクリワードと勝率の例をご確認ください。

≪リスクリワードが 1:1 の場合≫

例:ここでエントリーすると利益として100pipsが期待でき、その時の想定損失が100pipsである可能性の場合。(損失100pips:利益100pips)

上記の条件でトレードを10回繰り返す場合、最低でも勝率50%無いとマイナスになってしまいます。利益を積み上げるのであれば55%欲しいですね。

これを見てもらうと

  • RR1:1の場合は損失100:利益100(pips)となっています。
  • そして更にそれを10回繰り返してエントリーしていますよね。

正直、実際はそんなトレードしません。

もっと細かく言いますと、pipsで損切や利確を決めません。

何故なら、損切は『根拠が否定される場所』でするものですし、利確場所も場合によって変わります。

つまり損切、利確場所はpipsで決めてはいけないという事です。これは多くのトレーダーさんが仰っていることですし、色々拝見しても肯定的な意見が多いです。

では、何故pipsで決めてはいけないのでしょうか。

それはpips固定の優位性がチャートには存在しないからです。

図を使って説明していきます。

例えばこのように下図のトレードの場合、根拠が否定される場所としてピンクラインが挙げられます。

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買いでのエントリーです。

(ポジションは保有する価値が無くなったら手放すのが正しいと言えます。その価値が無くなった瞬間が『根拠が否定された場所』つまりはピンクラインになるわけですね。)

先ほどの例では毎回100pips固定でしたが、毎回損切を25pips、利確を25pips固定にしてみましょう。

すると、すべてで下図のようなことが起こるわけではありませんが

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このように根拠が否定される前に損切にかかっててしまう場合があります。結果、根拠が否定されているわけではないので

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その後普通に伸びて行くこともあります。

これでは意味の無い損切になってしまっていますよね。

逆に損切場所を80pips、利確場所を80pips固定にしてみましょう。

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この場合は根拠が否定されているので一見正しい損切に見えますが、

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この赤○部分の値幅が無駄です。根拠が否定されてるのにこの赤○部分の損失を被る必要はありません。

≪結果≫

①根拠が否定される前に損切してしまう。

②その場合は機会損失が発生してしまい、後のトレードにも響く。

③赤○部分の値幅分の損失が無駄になってしまう。

④赤○の部分で保有している時間が無駄になってしまう。これで資金が捕まり、その間他のポジションが取れないなんてことがあれば目も当てられない。

pipsを固定するだけでこのような4つのデメリットが発生してしまいます。

私が『損切は根拠が否定されたときだけ』と話すのはこれが理由ですね。

利確も似たような感じですが、利確だけで言えばpips固定も一理あるので損切で説明させていただきました。

*ただ利確も根拠を持って決済した方が良いです。それについては次の【第三章】でお話します。

つまり基本的に『○○pipsで利確したい。○○pipsで損切したい』

個人の願望であり、相場に一切関係ありません。

毎回根拠が否定される場所で損切した方が

  • 合理的であり
  • 資金効率も良い

ので結果として賢い選択です。

*ファンダメンタルズをトレード根拠の主軸とする場合や、株などではpips固定もアリだと思います。完全テクニカルのみの方はpips固定は辞めた方が良いという話ですね。

まずは『pips固定は良くない事』と覚えておいてください。

ではpipsを固定できない事がわかった段階で、あえていつものこの文章⇩のRR1:1は固定pipsを固定せず根拠通りにトレードしたらどうなるか試してみます。

≪リスクリワードが 1:1 の場合≫

例:ここでエントリーすると利益として100pipsが期待でき、その時の想定損失が100pipsである可能性の場合。(損失100pips:利益100pips)

上記の条件でトレードを10回繰り返す場合、最低でも勝率50%無いとマイナスになってしまいます。利益を積み上げるのであれば55%欲しいですね。

これのpipsだけを変えてみます。

例:買いでエントリーしたい場所を見つけました。そのエントリー根拠が否定される場所は25pips下です。では利確も25pipsにしてRR1:1にしましょう。

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結果1lot買い、25pipsの利益となりました。ここまでは前回と同じですね。

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次にまた買いエントリーしたい場所が見つかりました。この場合の根拠が否定される場所は50pips下です。利確場所は同じく50pips先

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結果1lot買い、50pipsの損切になりました。

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この2つの結果を合わせると『RR1:1を想定して勝率50%ですが結果 -25 pips』です。

先程はRR1:1かつ勝率50%あればマイナスにはならないとお伝えしましたが、RR1:1で勝率50%なのに損失になってしまっています。

言うまでもなくそりゃそうですよね笑

これは実践回数が2回かつ極端な例ですが、

獲得pips損失pipsが違えば同じRR、同じ勝率でも結果は変わるということになります。

極端と言いましたが通貨ペアやGOLD、上位足下位足でpipsの差は出るので、有り得ない事ではありません。

≪ここまでのまとめ≫

①pips固定の優位性が相場には無い。

②pipsを固定せずにRR1:1を作るとpips差でマイナスになってしまう可能性がある。

ただ、これに関しては一応の解決策があります。

それがpipsを固定するのではなく、損益額を固定するというものです。

先ほどまでは『損失100pips利益100pipsでRR1:1』としていました。

そこを『損失1000円、利益1000円でRR1:1』とすればロットの変更で解決することが出来ます。

例えば

1ロット=10000通貨と仮定
①1ロットで10pipsを取った場合、利益は1000円です。(利確目標10pips)
②1ロットで30pipsを失った場合、損失は3000円です。(利確目標30pips)

結果、勝率50%で計-2000円となっていることが問題なわけですね。

なので②の『1ロット』の部分を『0.33ロット』にすることでリスクをほぼ一定にすることが出来ます。(ちなみに1ロットの基準はFX会社によって変わります)

①1ロットで10pipsを取った場合、利益は1000円です。(利確目標10pips)
②0.33ロットで30pipsを失った場合、損失は990円です。(利確目標30pips)
勝率50%でプラス10円となっているので、結果的にほぼRR1:1勝率50%の計算通りとなります。

ただ『損益額でRRを固定する方法』にはデメリットが4つあります。

1つ目は毎回の計算が面倒臭いというものです。

ただこれは調べれば計算ツールがありますし、資金管理をする場合は皆さん通る道だと思います。

2つ目に厳密に損益を一定にすることは出来ない事です。

先ほどの『990円』の様に1000円には固定できません。更にスプレット(手数料)や設定できるロットも会社によって変わりますので一定にするのは難しいかもしれません。

3つ目に計算に時間がかかることです。

時間がかかると言っても秒単位ですが、スキャルピングなど1秒を無駄にできないトレーダーさんには難しいかもしれません。

4つ目に金額も結局は変わる点です。

たとえ損益額でRR1:1に固定したとしても、いつかは金額を上げるときが来ます。1000万円に資金が増えてきても常に損失1000円:利益1000円でトレードする人は居ませんよね。

その場合、いきなり1000円から1500円に上げる人も居れば、可変ロットで少しづつ上げる人もいます。

可変ロットとは:証拠金が増えたらその分取引ロットを引き上げ、 証拠金が減ったら取引ロットを引き下げる方法。

こうなるとやっぱり数字は変わってしまうんですよね。pips固定が難しいように金額固定も意外と計算通りにはいきません。

可変ロットなどの複利で計算する場合、必要な利益率も変わってしまいます。

つまり『RR1:1』として固定するのは難しいのです。

それもあって改めて色々なFXトレーダーさんを拝見しましたが、RRを金額で固定している人はほぼいませんでした。(正確には金額を隠している人も居るのでわかりませんが)

*リスクを資金の1~5%以下に抑える為に資金管理をしていらっしゃる方は沢山いました。

ここまでつらつらと語ってきましたが、

つまりFXにおいて数字(RR、pips、lot、金額)を固定することは難しいといえるわけです。

pips固定はできない、金額固定も難しい現状を考えれば期待値プラスでも資産を増やしていけるとは限りません。

≪期待値プラスが期待できない理由①まとめ≫

①まずpipsを固定することは、決済根拠を持てなくなります。なのでpips固定を前提とした期待値計算は間違っています。

②RRの固定はpipsではなく金額であればできますが、複数のデメリットや制約により簡単にできるものではありません。なんならこれをしている人は私が見た限りでは居ませんでした。

結果、期待値計算のプラスとリアルトレードでのプラスはまた別なのです

ですがここまで話しても金額固定であればギリギリどうにかできそうですよね。これ以上に期待値プラスが難しい理由があります。

それが『勝率』の部分です。(こっちの方が重要です。)

《2-4》 期待値プラスが期待できない理由②

②期待値通りの勝率を出さないといけない。

基本的に期待値通りの結果を得るには勝率をキープする』『月間、年間で期待値通りの勝率にする』必要があります。

まず、勝率を高くする、低くする以上に難しいことがキープです。何故なら相手は為替相場であり、相場は変化するからですね。

為替相場は流動性が高く株などに比べてもランダム性が高いものであると考えています。なので、どう頑張っても一定の勝率をキープすることが困難です。

FXで起こる事象には必ず要因がありますが、それをすべて把握する事は不可能であり、分からない部分(ある意味運)が絡みます。

その結果、相場を経験しているとわかりますが、勝率が高い手法だとしても連続で負けるときが来ます。

更に人間である以上、

  • 感情的になる可能性
  • 飛び乗ってしまう可能性
  • 間違いを起こす可能性

などなど色々な要因が発生するわけです。

なので10回トレードをして勝率が8割だとしても100回、1000回と長い期間続けていれば様々な事象が絡む余地も増えて行くので勝率は変動します。

逆に検証1000回ではトータル勝てていても、いざ自分がトレードする日からの月間、年間ではマイナスになることもあります。

私たちはトータル10回や1000回で利益を出すことではなく、月間プラスで終わる事、年間プラスで終わる事を目標にしなければいけません。

月に何回トレードするのか、年に何回トレードするのか、そこも考慮して考えなければいけませんが、それも月々で変わってしまいます。

結局何が言いたいのかといいますと、

一番安定から遠い職業がトレーダーということです。


*余談:先ほどお伝えした『相場は変化する』というキーワードですが、初心者さんにはわかりにくいと思いますので実際の相場で軽く説明致します。

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ドル円 日足 デイトレード目線

見てみると

青四角の相場は『比較的上下に動いており、順張り、逆張り両方である程度勝てる相場』になっています。

ですがピンク四角の相場は『ほぼ上昇のみのトレンド』で逆張りではほぼ勝てません。

つまり青四角内で使えた『逆張り手法』がピンク四角ではほぼ使えなくなっていることがわかります。(狙う値幅にもよりますが)

*逆にピンク四角の上昇相場は考えなくても買い続ければ儲かる相場であり、初心者さんが1番儲かる相場です。ですがその次に青四角のような複雑な相場が来た時には対応できず、ぼろ負けして退場していきます。

これが『相場は生き物であり、変化するものだ』という理由です。

ピンク四角の上昇相場は極端に勝率が上がるので『自分が上手いと勘違いしやすい期間』とも言えますね。

つまり『手法が使えなくなる事』や『連敗が起こる現象』は相場である以上当たり前なのです。


話を戻しますが、結局このような相場で勝率をキープすることは難しいと私は考えます。

では勝率をキープはできなくても月間、年間であれば期待値通りの勝率に近づける事ができるのでしょうか。

その解決策として『大数の法則』が挙げられます。

大数の法則とは:例えばサイコロであれば振る回数を増やせば増やすほど、出る出目の平均値3.5に収束していくという法則。

つまり勝率が上振れたり、下振れたりしても、試行回数を重ねれば期待値通りの勝率に収束してくと考えられるわけです。

ですが、残念ながらこれもFXでは適応できないと思います。

何故なら、私たちは1カ月で30回もトレードしないデイトレーダーだからです。(1日1.5エントリー計算)

30回前後のトレードでは期待値通りの勝率に収束するまでの試行回数が取れるとは言えません。(ちなみに試行回数1000回でも十分とは言えません。)

逆に試行回数を増やすトレードが出来れば良いのですが

そもそも相場のチャンスはかなり少ないです。

相場はわからないが9割以上占めているので、そもそも試行回数を増やせないのです。スキャルピングであれば可能に見えますが、初心者さんには難しいのでおススメはしません。

(スキャルピングをおすすめしない理由は次の【第三章】でも詳しくお伝えしています。)

更に言うのであれば、先ほど『数字の固定は出来ない』とお伝えしました。

サイコロであれば、でる出目が変わる事がありませんが、FXでは数字(RR、pips、lot、金額)が常に変化しているので大数の法則が適応できるかと言うと微妙です。

つまりまとめますと

①相場によって手法が使えなくなる可能性。

②連敗、大敗の可能性。

③試行回数を増やせない可能性。

この3つの事象により『RR1:1で勝率55%』でも結果マイナスになってしまう可能性が大いにあります。

そう考えると『RR8:1勝率90%』のように1トレードのリスクが高いと期待値がプラスでもかなり危ないですね。

つまり私たちトレーダーは上記の『3つの事象が起きても生存できる状況』を作ることが求められています。

≪期待値プラスが期待できない理由まとめ≫

理由①計算上、損益額(pips)を固定しなければならないが、実際は相場によって変わる為、固定できない。

理由②勝率のキープはできず、計算した勝率に近づける為の試行回数もFXでは増やせない。

結果、期待値プラスと言われている手法でも勝てないトレード手法が多い。

相場の本質は『人』です。

自動売買なども増えたとはいえ、人間の思惑で動いている以上計算や確率だけでは勝てません。その本質を理解しているからこそライン理論1では『多くの人が意識しているから』という『人を主軸』にしています。

ここまででお伝えしたかったことは期待値プラスはそこまで期待できない』ということです。

と、ここまで話してきて皆さんが結局知りたいのは

『では、どうトレードすれば良いのか?』ですよね。

この答えとして重要なキーワードが『高リスクリワード』になります。

《2-5》 高リスクリワードの優位性

まず先ほどお伝えした様に 相場のチャンスはかなり少ないので『試行回数が少なくても良い』トレード方法を考えないといけません。

そう考えると

  • 1トレードのリスクを下げ
  • リターンを大きくする

ことが賢いですよね。

何故なら、月のエントリーが30回以下として損切幅が極端に大きいと数回負けただけで取り返せなくなりますから。

これ以外の事は後程お話ますが、

まず結論として目指すべきは『RR1:2以上で勝率40%』です。(専業であればRR1:3以上は欲しいですね。)

RRは1:2と固定するのではなく、1:2以上とします。つまり相場に合わせて1:2でも1:3でも変更することを目標とします。先ほどは『数字が固定できない』と言いましたが、このトレード方法では数字を固定しない事がメリットになります。

「これは勝率も55%以上とは言えるのでは?」

とも考えられますが、勝率の上下はほぼ運であり、自分ではコントロールすることができません。

私たちは相場にトレードをコントロールされるのではなく、自分で『トレードをコントロールする力』が必要になります。

基本的に勝率は相場に握られているので、勝率だけ高くしても結局は相場の気まぐれで大負けてしまう事があるわけです。

それに対し高リスクリワードは基本的に利益の方が大きいので相場の気まぐれに多少は対応できます。

ここからは『自分でコントロールする』というイメージがついていないと思いますので、詳しく解説していきます。

《2-6》 高リスクリワードの狙い方

一見高RRを狙う事は難しそうに見えますが

チャネルを使えば1:2くらいはそこまで難しくはありません。

図で見てみましょう。

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ここで下図のような『ピンバー複数本』や『下位足でチャートパターンが発生』し、エントリーしました。

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その場合損切場所は

  • ①安値を超えることによる下落トレンド継続
  • ②トレンドラインを割る事による長期上昇トレンドの否定

この2つによって一番遠くても

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この場所になりますよね。この時、利確目標は

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このような場所ではなく

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この場所を狙ってください。そうするとRRを明確に図らなくともRRが良い場所であると認識できます。

つまりこの場合は高RRを狙っているのではなく、飽くまでチャネルトレードをするという事になります

*チャネルトレードをすれば大体RR1:2以上になると思います。(15分足以上)

ちなみに私の場合1:3以上になることも多いです。

実際の相場で見ていきましょう。

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ドル円 15分足

こちらの画像では上限に2つのラインが発生しています。私の場合はこれを1本の太い線として見るのですが、今回は一応2種類に分けています。

この場合、どちらのラインも3回ずつの反発が発生しています。つまり、ある程度『歴史のあるライン』ということですね。

反発回数が増えるにつれて抜けやすくなるのですが、もちろん反転する場合もあります。その点を考慮しながらオレンジの矢印の部分を拡大してみましょう。

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このピンクラインにタッチした時に下画像の様な『ピンバー2本』が発生していることがわかります。(陽線ピンバー ⇒ 陰線ピンバー)

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同一足に該当するサインですね。なのでエントリーすることができます。

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損切は一応遠めに設定し、緑のトレンドラインを完全に超えたらとしましょう。そして利確ですが

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ピンクのトレンドラインをそのまま平行移動させてチャネル化させ、その下限で利確します。

この時のリスクリワードは1 : 3ほどでした。ちなみに保有時間は8時間です。

今回のようにしっかり損切幅を取っていてもRRが良いトレードをすることができます。(毎回ではありませんが)

  • トレンドの見極め
  • サインの見極め
  • マルチタイムフレーム分析(MTF分析)

この3つが出来ることが条件ですが、不可能とまではいかないと思います。

マルチタイムフレーム分析(MTF分析)とは:複数の時間軸で分析を行う方法。実践的な例えで言うと、4時間足で環境認識して15分足でエントリーするなど。

更にこの場合は順張りなのでその後のリワード伸ばしもできます。

例えばですが

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このようにエントリーしたとき

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パッと見でも高RRを期待できますが

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短期チャネルを突破

場合によってはエントリーした後も、上位足やその他テクニカルからまだ伸びそうと判断できれば『更に保有』又は『半分決済、半分保有』のような選択を取る事ができます。

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中長期チャネルで利確

これは一見上振れに見えますが、環境認識が上手くなれば誰でもできます。やっていることはMTF分析ですからね。

高RRの強い点はこのようにMTF分析を使って伸ばすべき所を伸ばすことができる点です。つまり1トレードの利益(リワード)を大きくすることができます。

ただリワード伸ばしは、必要以上に保有時間が伸びるのでそれだけ戻ってくる可能性も高くなります。

そのリスクを限定する為にも

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ここにあったストップを

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上に持ってきてください。

この場合、すぐ戻って利確されるかもしれませんが、運が良ければしっかり伸びてくれます。

そもそも赤ラインを上に持ってきた時点で本来の目的は達成されているので、ノーリスクでギャンブルをすることが出来ます。

私は『FXでギャンブルをしてはいけない』と常日頃から言ってるのですが、無料で貰えるスクラッチは削るべきです。

もちろん最初は

  • 決められた時間軸で
  • あらかじめ決めた利確位置で

の決済を出来るようになってからリワード伸ばしはやってください。

リスクリワード1:2の場合、勝率は33.3%以下でマイナス、増やしていく為には40%くらい必要になりますが、

チャネルでのトレードは毎回リスクリワードが変わるので、1:2.5の時もあれば、1:3以上の時もあり、MTF分析を使えば1:10以上なんてこともあります。

なので多少勝率が下がっても増やせていけますし、試行回数が少ないからこそ1つのトレードのリワードを大きくするわけです。

*ちなみに毎回RR1:3とれれば勝率は30%で増やせていけます。

相場の面白い所は酷い下振れもあれば何故か連勝する期間もあることです。
高RRは1トレードのリワードが大きいので、少しでも上振れれば利益がかなり大きくなります

つまり高RRは①下振れを限定的に、②上振れは大きく取れます。

そして環境認識や技術を上げれば③RRはもっと伸ばすこともでき、④勝率も少しずつ上げていく事ができるわけです。

そして⑤建値などストップ上げもしやすくなります。

結局、相場の違いはあれど

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この様にRR1:1以下を想定できるような場所でエントリーしようとするのではなく、一目でRRが良さそうな所でエントリーしてほしい

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というのが『高リスクリワード』の意味になります。

逆に下画像のように、

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中途半端な所でエントリーすればRRが比較的悪くなりやすくなります。(損切場所にもよりますが)

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今回はチャネル内でのトレードをお手本として例にしましたが、これ以外にもRRの良い場所はいくつかあります。

RRの良さそうな所で検証や観察をしてください。

大切なのは『低RR、高勝率』『高RR、低勝率』の2択から考えるのではなく、そもそも『高RRの場所で検証して勝率を探る』ことです。

ラインタッチ後のプライスアクション
ラインタッチ後のプライスアクション2

上記の様にどんなサインであればチャネル上限に来やすいか、上位足がどんな状態であればチャネル上限に来やすいかを考える必要がありますね。

ただ、このトレードも完璧ではありません。高リスクリワードのデメリットとして『保有時間が伸びる』点が挙げられます。なので

①このよう建値に来た後、RR1:1で利確すればよかったとか、、

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②危ないから早めに決済して結果低RRとか、、

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のように上手くいかない事もあります。なので

「勝率は相場に握られていると言っていたけど、リワードこそ相場に握られているのでは?」

と思われても仕方ありません。

確かにこのような事もあります。ですがこの下振れは勝率と違って損をしていませんし、保有時間がある分、建値などのストップ上げもしやすいと言えます。

つまり勝率と違って自分でトレードをコントロールすることが可能なわけです。

どんなトレード手法でもデメリットはあります。大切なのはデメリットと、どう付き合っていくかですね。

*この長期保有デメリットの改善については『【3】一番トレーダーに必要な技術』と『【4】感情的にならない思考法』でお話しているので是非読んでください。

結局、相場はどのような動きをするかわかりません。

わからないからこそ高勝率が難しく、キープすることが難しいのです。

なので勝率の低下などの最悪を想定して高RRを取る立ち回りが大切ですね。

では最後に今までのまとめをしていきます。

≪リスクリワードと勝率どちらが大事?まとめ≫

FXは期待値プラスのトレードを積み重ねるのが良いとされる。
だが期待値計算はFXに適応しにくい。理由は大きく分けて2つあり

①pips固定には相場での優位性が無い。金額の固定も難しく、制約もある。つまり複利で増やす事も考えると本来固定されるべきRRは固定できない。

②計算通りの勝率キープはできず、計算した勝率に近づける為の試行回数もFXでは増やせない。


この2つを改善しつつ目指すトレードは『高リスクリワード』になる。

①数字を固定できない点はリワードを大きくする事である程度対応できる。

②試行回数が増やせないからこそ、リスクを限定し、取れる時にリワードを大きく取るトレードが月間、年間でプラスにしやすい。

③大前提に根拠を元にトレードする事が大切。(今回はチャネル)

と、私は結論づけました。

最近はリスクリワードが軽視されがちですが

『損小利大』と『リスクリワード』

トレードの基盤としてこの言葉があるのは偶然ではなく、チャンスが少ない相場で生き残る為の先人の知恵なんですよね。

そもそもリスクを限定した場合、勝率は60%をキープすることだって難しいと思います。相場の中では生き残る事が正義であり、最悪の想定は常にしないといけません。(専業であれば尚更ですね)

最後にお伝えしたいことは、正直このトレード法は簡単ではありません。

ですが本来初心者用の簡単なトレード法とかは無く、相場は退場生き残るかしかありません。

なので本当に生き残りたいのであれば是非リスクリワードも意識してください。

と、ここまで話しても、

『そこまで長期間保有できない』

と思う方もいらっしゃると思います。そのような方々について少しですが次の章で話させて頂きます。

あわせて読みたい
第三章:1番トレーダーに必要な技術 《3-1》 利確が難しすぎる問題 リスクリワードを良くすればするほど、必要になる技術は『保有』になります。 今まで『損切は絶対にする』や『エントリーは待つことが大...

では、皆さんが相場で生き残ることを切に願っています。


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